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小坂井瞭と柳生青空。長年のライバルであり相棒が『異なるリーダーシップ』で挑む、集大成のシーズン

  • 3 日前
  • 読了時間: 4分

筑波大学男子ハンドボール部の2026年シーズン。その輪郭を形作るのは、中高生時代から世代を代表するライバルとして、そして唯一無二のパートナーとして並び立ってきた二人の存在だ。 北マケドニアでのプロ経験を経て帰還したエース・小坂井瞭。そして、彼が不在の中、自ら名乗りを上げ、組織の舵取りを担うこととなったキャプテン・柳生青空。 今までのイメージからすると今季の二人の関係性は、どこか新鮮に映るかもしれない。しかし、その変化こそが、今季の筑波を形作るリーダーシップとなっている。二人が歩んできた軌跡と、その中で積み重ねられた関係性を紐解いていく。



筑波大学4年小坂井瞭(写真左)と同柳生青空(写真右)
筑波大学4年小坂井瞭(写真左)と同柳生青空(写真右)

世代別代表から続く、二人の歩み

柳生青空と小坂井瞭。二人の道のりを振り返れば、そこには常に「もう一人」の存在があった。


大学でチームメイトになる前から、二人はそれぞれのチームの主力として、全国の舞台で何度も顔を合わせてきた。世代別代表の活動では同じ部屋割り、ペアでの行動も多く、U18日本代表時には「ダブルキャプテン」として共にチームの舵を取った。

筑波の門を叩き、同じユニフォームに袖を通した1年生の時から、出場機会の差こそあれど、二人が共にコートに立つ場面は着実に増えていった。


筑波での3年間、そしてそれ以前から続く長い年月の中で二人は付かず離れずの距離で、互いの進化を一番近くで見つめ続けてきた。そして今、集大成の時を迎え、二人の間には長年の歴史に裏打ちされた深い信頼が流れている。



2024年インカレにて柳生は、初戦で負傷離脱した同ポジションのエース大浦に代わりほぼフル出場を果たした。イレギュラーな状況で大きなプレッシャーの中、勝利に大きく貢献した。(写真左から2番目)
2024年インカレにて柳生は、初戦で負傷離脱した同ポジションのエース大浦に代わりほぼフル出場を果たした。イレギュラーな状況で大きなプレッシャーの中、勝利に大きく貢献した。(写真左から2番目)

情熱と規律で補完し合うリーダーシップ


柳生から見た小坂井は、プレー面での頼もしさはもちろん、その人間味にこそ強みがある。 「自分は思ったことはすぐに言えるタイプで、プレー面でもそれ以外の面でもチームとしてあるべき方向へと先導することはできるが、チームを俯瞰して見ることが得意ではない。それに対してこざ(小坂井)は自分より情に厚いところがあってチーム全体を見ながらプレーについてすごく声をかけてくれるし、鼓舞してくれる。」 海外プロリーグでの経験を経て帰国した小坂井の存在は、柳生にとって、心強い支えとなっている。一方、小坂井の目に映る柳生は、主将という立場を経て、その姿勢が大きく変化した。 「昔は自分のしたいプレーや、自分の考えを発信することがメインだった青空が、キャプテンになってから変わった。後輩たちの声を大事にして、周りを気遣いながら『じゃあ、こうやろうか』とチームを動かしている。今の青空は、すごく頼りになるリーダーシップを持っている。だからこそ、自分は戦術面や背中で引っ張るという部分に集中できる。」 自分のプレーを追求する形から、組織全体を動かす形へ。小坂井はその変化を、確かなリスペクトを持って受け止めている。


2024年インカレ準々決勝にて試合終了間際、延長戦を決定づける同点弾を決めた小坂井。下級生の頃から試合で見せるエネルギーとプレーでチームを引っ張ってきた。
2024年インカレ準々決勝にて試合終了間際、延長戦を決定づける同点弾を決めた小坂井。下級生の頃から試合で見せるエネルギーとプレーでチームを引っ張ってきた。

二人のリーダーシップは、明確に色が分かれている。小坂井がプレーや仲間に対する熱量でチームを引っ張り、柳生が冷静に組織の土台を締め直す。この棲み分けは、長年切磋琢磨してきた二人が辿り着いた、信頼の形だ。



「筑波の色」を表現しに挑む、最後のシーズン


相手DFの上からミドルシュートを放つ小坂井(写真左)とフェイントで相手DFの間を掻い潜る柳生(写真右)。
相手DFの上からミドルシュートを放つ小坂井(写真左)とフェイントで相手DFの間を掻い潜る柳生(写真右)。

コート上では身長とフィジカルを活かして外からシュートを狙う小坂井と、素早いフェイントと両利きという武器を活かして内側へ切り込む柳生。この対照的な武器を持つ二人が両バックに並び立つ。それは筑波にとっての最適解であり、二人の必然の帰結でもある。

怪我での離脱や海外挑戦という時間を経て、再び同じコートに立つ。多くの時間を共有してきた二人の感覚は、今、より深く噛み合い始めている。


「ここからが本当の始動」


柳生がそう語る言葉には、長年のライバルであり相棒と共に、最後のシーズンを戦い抜く覚悟がにじんでいた。

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