"現役大学生でありながらA代表選手"になった朝比奈あずさ(筑波大学4年) 意外なチーム事情と強さの真相を語る 【インタビュー1/2】
- Tsukuba owls

- 9月18日
- 読了時間: 8分

今年6月、三井不動産が特別協賛するバスケットボール女子日本代表国際強化試合「三井不動産カップ2025(愛知大会)」でA代表に選出された筑波大学の朝比奈あずさ(体育専門学群4年)。
現役の大学生がA代表に入ることもすごいが、大学生世代の日本代表(以下、ユニバ代表)にも名を連ねており、彼女は二つの代表チームメンバーに入る快挙を成し遂げた。
所属する筑波大学女子バスケットボール部(以下、筑波女子バスケ部)の意外なチーム事情とキャプテンとして形作られた朝比奈の強さの本質に迫る。
◾️日本代表で感じた世界のスタンダード

――6月から7月にかけてA代表とユニバ代表の活動が続きました。いつもプレーしている筑波女子バスケ部とは異なる“日の丸の代表チーム”はいかがでしたか?
朝比奈:まず、とても恵まれた環境を与えてもらえたことに感謝しています。筑波では同年代の子たちとプレーしていますが、A代表では自分よりも10歳以上年上の方とも一緒にプレーする機会があります。全く違うキャリアを積んできた方々から多くの刺激をもらえました。もちろん、ユニバ代表では同年代でもレベルの高い選手たちとたくさんプレーできたので、また違った刺激がありましたよ。
――日本代表と筑波ではチームの戦術やスタイルの違いが少なからずあったと思います。プレースタイルを大きく変える必要はありましたか?
朝比奈:実は、筑波にいると大きく変える必要はありませんでした。というのも、筑波大学の監督である池田先生はユニバ代表のアシスタントコーチでもあります。
日頃から筑波のチームスタッフの方々は私たちに対して「世界で戦えるように」「代表に入れるように」を逆算してくださっています。そのため、部活でのドリル(練習)ベースが既に日本代表レベルと近いものがあるのですごくありがたいなと思っています。
その中でも“日本代表のチーム”では、より質の高いスタンダードが求められていたので、もっと上を目指さなければいけないと強く感じましたね。

――筑波が朝比奈さんのようなA代表やWリーガーを多く輩出させているところにも繋がっているように感じました。
朝比奈:そうですね。池田先生は常に先を見据えて指導されていて、それは選手にも伝わってきています。
◾️池田英治監督の指導哲学から生まれる、朝比奈あずさの強さ
――小学生の頃からバスケットを続けてきましたね。これまで様々な指導者のもとでプレーしてきたと思いますが、池田監督が教えるバスケットには、どのような特徴を感じていますか?
朝比奈:池田先生のバスケットは、かなり高いレベルを求めているなってすごく感じています。池田先生が目指しているものは日本代表がやっているバスケットに近くて、そこに少しでも近づけるようにと細かい部分まで丁寧に指導してくださっています。
自分たちのレベルではまだ足りない部分も多いですが、そこを重点的に教えてくれるので目標が明確になり、常に上を目指せます。
――それはつまり、池田監督は筑波の選手を“代表レベル”まで押し上げることを考えられている、ということでしょうか?
朝比奈:はい。そこについては円陣などで、池田先生が代表戦を直接見て感じた世界との差を教えてくれます。
「あなたたちは世界を目指していける人たちだから」
と、常に私たちに対して言ってくださっていますね。
――一方で、池田監督は選手たちの自主性を尊重しているとお話を伺いました。自由が多い環境は縛られることが少なく、やりやすいという反面、各々が自立して取り組まなければ、監督が求めているレベルまで到達するのは難しいと思います。自由な環境の中で、高いレベルを目指すためにチームとして、あるいは朝比奈さん個人としてどのように取り組まれていますか?
朝比奈:そうですね。自由度が高い環境をつくってくださっていると思います。
私としては、自由な環境の中でもしっかり自分で何かを選択して1個ずつの目標のために頑張る。頑張るというか、考えるようにしています。そこも池田先生が私たちによく言っていて「自分で考えてしっかり行動する」ことが大事だと。だから考えるための自由な時間も与えてもらっている。
実際のところは、筑波だって本当に人それぞれちゃんとやっている人もいれば、もしかしたらちゃんとできてない人もいるかもしれない。
それはどこも同じだと思う。
けど、私たちは日頃からたくさん選択肢を自らつくろうともするし、自分で選ぶからこその責任が生じてくると考えています。
そこの責任感っていう部分でも、誰かに決めつけられたものだけをやっていたら「人のせい」にしてしまう。
”自分が決めた行動だからこそ”という、自分が選んだのは自分の責任っていう重みは高校と大学の違いでもあると感じていますね。

◾️筑波大学の運動部は多様性が「らしさ」
――朝比奈さんが思う「筑波らしさ」とは何でしょうか?自分のチームにおいて、他の大学と圧倒的に違う部分を言語化すると、どのような表現になりますか?
朝比奈:自分たちのチームには、留学生のような圧倒的な個の能力を持ち合わせている選手はいないので一人ひとりの個々に明確な強みがあり、それがチームとしての一体感を持っています。個人の強みがまとまった時に大きな力を発揮できるチームですね。
――筑波大学生の日常的な生活や、プレーのオンオフの部分を見ると、チームメイトたちはどういう魅力を持っていますか?特徴を教えてください。
朝比奈:筑波の特徴ですか?女子バスケ部に限った話ではないかもしれませんが、推薦で入ってきた子たちも一般入試で入ってきた子たちも、色々なバックグラウンドを持った人たちがたくさんいるから、多様な価値観の人と出会えることです。
そこが他のスポーツが強い大学とは違うかなって。
――筑波は推薦で入ってくる数が意外と少ないですよね。
朝比奈:そうなんです。女子バスケ部には各学年に片手で数えられるほどしかいません。あとは一般入試でチームに入ってきた子です。なので、一般で入ってきたのに「なんでこんなにできるの?」と驚かされる子がたくさんいる。
逆に一般の子たちは、バスケットをよく知っている推薦の子たちから「あ、こういう考え方もあるんだ」と考え方のパターンの多さに気付かされることもあります。
他にも、推薦の子たちのシューティングを間近に見れるから一般の子たちも自然と真似しようとなる。
お互いがすごくいい刺激を与え合っていますね。
――もともと筑波は推薦と一般に関わらず密に交わっていたのですか?
朝比奈:いえ、私が筑波大学に入ってきたときは、AチームとBチームで完全に分かれて練習もしていて、推薦と一般の人が密に交わっている感じはありませんでした。
けど、もともと推薦枠で入ってきたメンバーが少ないということもあり、怪我人が多く出てしまった時期に困ります。明確にいつからかは覚えていませんが、怪我人がやたらと多く出たときがあって、人数が足りないからって理由で自然とAチームとBチームが一緒に練習するようになりました。たぶん、その頃から推薦と一般の人の交わりが増えたと思います。
チーム内でレベルの差があることは否めませんが、今ではBチームのキャプテンの子とも密にコミュニケーションを取るようになり、より良い練習が部全体の一体感も生んでいるのではないかと感じますね。

――チームの中では上下関係が厳しく、4年生が下の子に厳しくするといったことは全くないと聞きました。
朝比奈:全然ないですね。みんなタメ口で話していますね(笑)。
――英語圏のチームを見るとそういったフレンドリーさは日本と大きく違うと感じます。筑波女子バスケ部にもそういったフレンドリーな雰囲気がありそうですね。この雰囲気、文化は指導者の方針でつくられてきたものですか?あるいは学生、選手ありきの文化なのでしょうか?
朝比奈:監督どうこうと言うよりかは、勝手に選手たちの中でどんどん仲が深まっていっている感じですかね。今までの先輩たちが自分たちに優しく接してくださった伝統的な雰囲気から、自分たちも同じようにするだけ。後輩たちに対して同じように接していくと自然と仲良くなっていく文化がつくり上げられていくと思います。

(後編に続く)
【了】
朝比奈選手が登場する!
【筑波大学女子バスケ部のイベント概要】
イベント名称:筑波大学ホームゲーム「TSUKUBA LIVE! Presented by SMBC」
開催日時:2025年8月9日(土)13:50開演(14:30 試合開始)
会場:筑波大学中央体育館(〒305-0005 茨城県つくば市天久保3丁目1-1)
対象競技:女子バスケットボール
対戦カード:筑波大学 - SMBC TOKYO SOLUA
主催:筑波大学体育スポーツ局
<当日スケジュール>
13時00分 開場(予定)
13時30分 トークショー
13時50分 開演(予定)
14時30分 試合開始
16時00分 試合終了
<トークショー概要>
時間:13時30分〜13時50分
題目:女性アスリートとデュアルキャリア:「仕事とスポーツ」「学業とスポーツ」の両立
パネリスト:
・髙市 邦仁(SMFG/SMBC社会的価値創造推進部)
・山口 香 (筑波大学体育系教授・元柔道日本代表/ソウルオリンピック銅メダル)
モデレーター:
・大山 高(筑波大学体育系教授・体育スポーツ局スポーツアドミニストレーション部門長)

◾️関連記事
◾️関連サイト




